「世界中を旅する教育者」を目指すクマのブログ

大好きな教育を多角的な視野で俯瞰し、日々関心を持ったことをブログにあげていきます。

良妻賢母はロールモデルか

世界最大のビジネス特化型ソーシャルネットワークサービスのリンクトインは、世界22か国を対象とした仕事で成功する自信に関する調査を行いました。

日本は男女合わせた総合で平均指標より2割も低く、全体的に自信がないということが明らかになりました。さらに日本人女性は「成功する自信」において、男性よりさらに7.5%低い結果です。最も自信がある国は、インド、インドネシア、中国という順番です。

 

他国では学歴や所得の高さに比例して相対的な自信も高まりますが、日本ではそれでも低い位置にあります。

 

なぜ日本人女性の「自信」は他国と比べて圧倒的に低いのでしょうか。

 

これには、日本人は他国と比べて比較的謙虚なので、自信があることをあまり表に出さないという文化的背景もありますが、経済的背景もあります。調査が行われた時期はちょうど日本で消費税増税が施行された時期でもあり、またイギリスのEU離脱など、国際的にも先行き不透明な経済に対する不安も自信のなさにつながっていると考えます。

 

女性についていえば、日本では「完璧」を目指す女性が少なくありません。完璧な社員、完璧な妻、完璧な母親など、、、女性が置かれている環境自体が失敗を許さないところもあります。ある分野で第一線で働く女性が「女性初の~」という立ち位置にされてしまうことで、周りのプレッシャーを執拗に受けてしまうこともあります。

そうすると、どんなに学歴や収入が高くても、常に自信がない状態が続いてしまいます。

 

では、今の働き方改革により会社の雰囲気が変わるだけで、女性は自信をもって社会で活躍しやすくなるのでしょうか。

 

女性の活躍を阻害しているものはなにか?の調査結果が下の図です。

 

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確かに会社の雰囲気や社会保障制度の不十分さのような、働き方が女性の社会進出を妨げている部分も大きいです。しかし、この調査結果にもあるように、

「パートナーの協力不足」

が7割強と、ほかの項目より高いことが分かります。

なぜ、夫は家事に協力しないのでしょうか。

 

これは昔からの、父親が経済的に家計を支える「一家の大黒柱」という風潮がまだ残っているからかもしれません。

 

しかし現代の環境で、それは家事に協力しない理由にして良いのでしょうか。

 

妻も働いている場合でも夫の方が「経済的に家計を支えている」という理由で仕事に優位性を感じ、コロナの影響で在宅勤務が長期になってくると、家事をせずにすぐに仕事に逃げたり、「昼ご飯が出てくるのが当たり前」のようなスタンスでいる夫も、どうやら少なくないそうです。

 

これでは夫婦間でストレスがたまる一方ですね。

 

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上のグラフは子どもが生まれても妻は働くべきか」という調査の結果です。ここ10年ほどで女性の社会進出の場が多くなり、昔に比べると女性が産休や育休ができるような仕組みが少しずつ整っていることからか、2008年から2018年で、こどもがいても「働くべき」という意見がグンと伸びていることが分かります。また、夫側のyesも常に妻を上回っていることが見てわかります。

 

しかし、コロナ自粛期間中、働く母の6割が罪悪感を持っているという別の調査結果もあります。こどもに対して納得のいく世話ができていないという回答が多いそうです。学校が長期間休校になることで、こどもが自宅学習をしないといけない時間が非常に多くなり、今までは学校や塾に丸投げしていた「親による学習支援」に向き合わないといけなくなりました。家事もしながらこどもの学習にも向き合わないといけない状況ですが、十分に時間が取れていないという現実を、この調査結果が表しているのでしょう。

 

では、次に妻と夫の家事時間の差について、調査結果を見てみましょう。

 

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このグラフを見れば一目瞭然、妻のほうが圧倒的に家事に時間を費やしています。

休日でも夫の約5倍、平日に至っては、7倍以上の差があります。コロナ自粛期間でさらに、昼間に子供がいる家庭を見ないといけなくなった分、母親のワークライフバランスは崩れる一方だと考えます。

 

果たして、良妻賢母は女性のロールモデルなのでしょうか。

 

良妻賢母(りょうさいけんぼ)

「女子の本来の任務は家を整え、子を産み、子を育てるにあるとする思想に基づいた婦人の理想像をあらわした語。つまり、良き妻であり賢い母であることが婦人の理想である。」(ブリタニカ国際大百科事典参照)

 

これは、第二次世界大戦中までの女子教育の基本理念でした。確かに、昔と今では女性の社会進出度合いが全く違います。しかし、いまだこの概念は一定数はびこっているのではないかと思われます。逆に「良夫賢父」という四字熟語が存在しないことから、この言葉がイデオロギー化していることが分かります。事実、男性で家事にも育児にも全力を注いでいる人に対して称賛する文化があるということは、そうでない人が大多数いるからではないでしょうか。私もカナダでホームステイをしたり、多くの外国人と関わってきていろんな家庭を見たことがありますが、正直、こんな国は珍しいと思います。

 

こんなに大変な時期だからこそ、夫はもう一度家庭を見直さないといけないと思います。

 

「夫婦両方が、最愛のパートナーのために、仕事・家事を兼務し、楽しく暮らす」

 

これが「女性の」ではなく、夫婦のロールモデルなのではないでしょうか。

 

 

 

また、ここで教育面にも少し首を突っ込みたいと思います。

 

コロナ自粛期間が終わってしまうと、また、勉強の中心は家庭から学校・塾へ戻ってしまうと思います。確かに家庭では、いっぱいいっぱいになりながらこどもの勉強の様子をいつも以上に見ていたのではないかと思います。しかしその反面、学校の先生がどのような学習指導、支援をしているかも間近に見ることができたのではないかと思われます。これは教師の力量を見抜く大きな機会であったと思います。事実教育現場では、コロナ自粛期間中ICT教育に、力がなくても試行錯誤して頑張ろうとしている若い先生方も多くおられました。しかし「現場の教員がICT教育をやりたいといっても潰してきた管理職や現場の大御所先生(ただの現代の教育の波に乗れていない、昔ながらの教育を大切にしている人)たちがいた」のも事実です。

 

そういった人たちを学校現場からではなく、各児童生徒の親が摘発し、そういった学校に(教育に)提言することができるチャンスなのではないでしょうか。

 

いままで先生任せで受動的だった教育も、各家庭からプレッシャーをかければよい教育環境が生まれると思います。面白そうですね。

 

 

今回このテーマについて考えてみようと思った理由は、私もコロナ自粛期間で実家生活をする中で、いままで素通りしていた家庭をこども視点で振り返り、反省したからです。「実家生だからご飯は心配ない」「洗濯物は親に任せていい」などと考えていた自分が恥ずかしくなりました。家事について考えた時にこの「良妻賢母」という言葉に出会い、色々調べるなかで、自分も母親に甘えてばっかりではなく、ちゃんと親孝行しなくちゃな、と強く感じました。そしていつかパートナーができたら、夫婦で楽しい家庭を作りたい気持ちで、この記事を書きました。この記事が、読んでくれた人の「家事」そして「夫婦」について考えるきっかけになってくれたら幸いです。